先ほど〝参議院農林水産委員会〟が閉会しました
こんにちは、岩井茂樹です。
先ほど〝参議院農林水産委員会〟が閉会しました。
本日の審議は「農業用ため池の管理及び保全に関する法律案」について!
この法案がつくられた過程は・・・。
昨年の七月豪雨で広島県・岡山県が大きな被害を受けたことは、まだ記憶に新しいところです。
当時、その対応をしっかり図るために、災害後の8月29日に、初めて私が委員長を務めていた参議院農林水産委員会が広島、岡山の両県におきまして、農林水産関係被害の状況等に関する実情を調査し、視察後の臨時国会にて視察内容を政府に対して報告いたしました。
本法案はそれを背景にできたものです。
被災地の復興と災害に強い国土づくりのために引き続き取り組んでまいります。
(参考までに以下、委員会における岩井の報告内容です。)
○岩井茂樹君 報告に先立ち、一言御挨拶を申し上げます。
委員長在任中は、理事及び委員の皆様方の御協力によりまして、その職責を全うすることができました。心から御礼を申し上げます。
なお、引き続き本委員会に籍を置くことになりました。今後とも、是非ともよろしくお願いいたします。
本年は、平成三十年七月豪雨、台風、地震と、大きな災害が相次いで発生しております。まずもって、災害の犠牲となられました方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災者の皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
委員派遣の御報告を申し上げます。
去る八月二十九日、広島、岡山の両県におきまして、平成三十年七月豪雨による農林水産関係被害の状況等に関する実情を調査してまいりました。
派遣委員は、当時の中泉理事、舞立理事、田名部理事、紙理事、進藤委員、野村委員、平野委員、山田委員、横山委員、徳永委員、小川委員、川田委員、儀間委員、森委員及び私、岩井の十五名であります。
平成三十年七月豪雨は、西日本を中心に、全国で生命、財産に大きな被害をもたらしました。特に、広島、岡山の両県での被害は甚大であります。
全国の農林水産関係被害額は、九月末時点で三千億円弱、このうち広島県は七百七十億円、岡山県は二百十億円をそれぞれ超えております。
以下、派遣の概要について申し上げます。
まず、広島県に赴き、広島中央農業協同組合が三原市大和町に所有する農業用共同利用施設の被害状況を視察しました。
被災したカントリーエレベーターは、裏山の土砂崩れにより、建物及び装置等に大きな被害が生じておりました。米の収穫時期に間に合うよう再稼働するべく、組合において全力で対応された結果、仮復旧ではあるものの、九月一日からの荷受けを可能とし、最盛期にも対応し得るまでに至ったとのことでありました。
しかしながら、施設の脇に積み上がった大量の土砂の撤去が急がれるほか、雨天時の安全を確保するための措置が必要な状況でありました。
こうした状況を踏まえ、組合からは、早急な土砂処分に向けた行政間の連携、災害復旧事業における柔軟な認定等を内容とする要望が、また、天満三原市長からは、災害復旧事業の実施に向けた人的支援、治山、砂防、農地災害復旧の各事業が連携した総合的な防災対策等を内容とする要望があり、それぞれ要望書を受け取りました。
その後、近隣の被災した水田を視察しました。
組合としては、復旧工事に合わせて圃場整備も行い、より効率的な農業を可能にするべく、農家負担のない農地中間管理機構の事業も活用していきたいとのことでありました。
派遣委員との間では、災害対策事業の現場に即した運用、自治体に対する人的支援の在り方、被災した農林漁業者への相談体制の充実等について意見が交わされました。
次に、福山市草戸町に赴き、豪雨で決壊した農業用ため池を視察しました。
視察した堂ノ奥池は、築造年代が不明な古いため池であり、近年は、利用者が離農したため管理が行き届かず、堤に生えた大木の根に起因するパイピング現象により決壊したと推察されております。
広島県内には約二万か所のため池がありますが、堂ノ奥池と同様に、適切な管理が行われていないことを原因とする決壊が多かったとのことです。
このため、同県では、利用を継続するため池については、改修工事を行って安全性及び管理の利便性を高めるとともに、利用されないため池については、関係者の協議を経て、適切に廃止していきたいとのことでありました。また、ため池の存在を知らない周辺住民が増えてきたことから、避難行動につながるよう、ため池の存在及び決壊の危険性を周知していきたいとのことでありました。
派遣委員との間では、近代的なため池への早期の改修、ため池ハザードマップの策定状況等について意見が交わされました。
次に、岡山県に赴き、倉敷市真備町において農業用排水機場の被害状況を視察しました。
真備町及び周辺地域では、小田川及びその支川の決壊等により、最大五メートルもの浸水に見舞われ、多くの尊い人命が失われるとともに、家屋や水田等が被災しました。
小田川沿岸には、県営事業で造成された農業用排水機場が十五か所ありますが、視察した服部排水機場を含む十四か所が被災しました。天井川に囲まれたこの地域において、排水機場は、農地のみならず、人命、家屋等を守っており、その早期復旧が不可欠であります。このため、岡山県は、管理者である関係市町からの委託を受け、県対応にしたとのことであります。
九月の台風シーズン前に全ての排水機場の能力を復旧するべく、応急工事が急がれていました。本格復旧が完了するのは、平成三十二年三月末とのことであります。
派遣委員との間では、排水機場の浸水対策、大規模氾濫の減災に向けて堤防の一部を低くした越流堤を設置する必要性等について意見が交わされました。
次に、総社市福谷地区に赴き、樹園地の被害状況を視察しました。
福谷地区は、県特産のマスカット・オブ・アレキサンドリアや贈答用の桃の産地であります。高梁川の氾濫により、収穫期を迎えた果実を失ったほか、ハウスや樹体の損壊、圃場の表土の流出など生産基盤の被害に見舞われました。
岡山西農業協同組合及び生産農家からは、早期の営農再開に向けた支援、洪水対策として農地の復旧に際し一・五メートル程度のかさ上げ、洪水防止に向けた高梁川の樹木の撤去等を内容とする要望がありました。
また、片岡総社市長からは、農林水産省が農機具などの補助率を早々に明示したことが被災農家の営農意欲を取り戻す契機となり感謝していること、高梁川の洪水対策を早急に講じる必要があること、高梁川の洪水を原因とするアルミ工場爆発という複合災害の被災者を支援するよう国に要望していること等の発言がありました。
派遣委員との間では、災害復旧事業における農地かさ上げの方策、出荷できるまでの未収益期間における収入対策等について意見が交わされました。
次に、岡山県庁に赴き、伊原木知事と意見交換を行いました。
伊原木知事からは、現時点での被害額は百九十六億円であるが、被災現場にたどり着けず被害調査ができていない場所もあることから今後増える見通しであること、複合的な災害も発生しており、被害形態ごとに必要な支援が現場の実態に即した形でなされる必要があること等の発言がありました。
派遣委員との間では、林業関係の被害状況、現場のニーズに合った災害対策の内容及び課題、被災者生活再建支援法に基づいた複合災害への対応策、永年作物の未収益期間における農家の複合経営等について意見が交わされました。
以上が調査の概要でありますが、広島中央農業協同組合及び三原市から提出されました要望書につきましては、本日の会議録の末尾に掲載していただきますよう、委員長のお取り計らいをお願い申し上げます。
今回の派遣を通じ、被害の大きさと復旧復興の難しさ、そして、農林漁業者の事業の再開と継続に向けた意欲が損なわれないよう適時適切な支援を講じることの必要性を痛感しました。
自然災害が続く今、食料安定供給の責務を果たすため、現場からも要望がありましたように、災害復旧に際しては、長期的な視点に立ち、より災害に強い生産基盤を整備するとともに、平時から気候変動等に対応した生産・物流体制を構築していくことの重要性を改めて強く認識する次第であります。
最後になりましたが、今回の調査に当たり御協力いただきました皆様方に厚く御礼を申し上げるとともに、広島、岡山の両県を始め、全国の被災地の一日も早い復旧復興を心よりお祈り申し上げ、派遣報告といたします。
以上でございます。
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